C-531　大容量の引き出しを備えたウォールナットの食器棚

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長野県のOさんからご注文いただいたカップボードをご紹介します。

Oさんは、とにかく転勤の頻度が高く、都度の引っ越しがたいへんなので、なるべく家具を持たないように暮らして来られたのだそうです。しかし、転居先に造り付けの収納スペースが無かった際には、食器の置き場所にも困り、簡易なオープンラックに並ぶ数だけを並べ、他は段ボール箱にしまったまま数年を過ごすというようなこともあって、さすがに不便を感じ、この度ご相談にいらして下さいました。

しかしこれは難しいご注文です。大きすぎると次の転居先で邪魔になるかもしれないし、最悪の場合は搬入すらできないかもしれません。かと言って、そこに留意するあまり要件を満たさないほどのコンパクトサイズに留めていたのではわざわざ作る意味がありません。転居先でなるべく困らない外形寸法を探り、その範囲でできるだけ多くの食器が収納できるよう心がけ、かつ使い方の応用範囲が広がるような工夫をこらして、最終的には上図のようなカップボードをお作りすることになりました。

こちらが完成したカップボードです。熟慮の結果、横幅は100cmとしました。できれば90cm未満にとどめておいたほうが行く先々で困らないのではないかとも申し上げたのですが、それだとキャパが小さくなってしまうことと、何より見た目がスリムになり過ぎてOさんの好みではなかったので、ここは思い切って100cmを選択されました。

最大奥行は46cm。本当は45cm以下に収めたかったのですが、引き出しを支持するスライドレールの規格の都合で1cmオーバーとなりました。

この食器棚は上下段に分割できます。もちろん搬入や搬出の経路を意識してのことですが、その他にも、状況によっては下段と上段を別々の場所で使うことも念頭に、上下を分けることに致しました。

そして、上段と下段の間にはオープンスペースがあります。少しでも多くの食器を収納したいという希望を重視するならば、ここも収納スペースにすれば良いところなのですが、過去の転居先では、例えば作ったおかずの一時置き場すら無い場合や、頻繁に使用する用具の置き場所に困ることもあったそうで、こうしたスペースも必要というOさんのご判断でした。

扉のガラスは、すっきりとした透明ガラスです。ご希望により、中が見えにくいフロストガラスや、アンティーク調の型板ガラスなどをお選びいただくこともできます。

扉のすぐ下にはカトラリーを収納するためのトレイが3つ並びます。このトレイは家具の金額が高くなる要因の一つでもありますので、Oさんは最後まで迷っておられましたが、納品から暫く経ってお会いした際には「やっぱりトレイを付けて良かった」と言っておられました。

トレイには着脱できる仕切りがついています。カトラリー収納ではない目的で使うようになった場合に備え、取り外しができるようにしました。

これは最上段の引き出しを開けた様子です。引き出しの左半分にだけ仕切りがあり、その上に移動できるとトレイを設けました。

そして下段は全て引き出し。表題にもあるとおり、かなりの容量です。限られたスペースでより多くの食器を収納でき、かつ収納した食器が取り出しやすいという点が、引き出しに食器を収納するメリットです。

引き出しの仕切り板も着脱可能です。大皿を収めたい場合などは仕切りを抜いて使います。

納品後にも何度かお会いしているOさんですが、その度に頼んで良かったと言ってくださいます。ただ一点、オイルフィニッシュに使用したオイルの匂いが気になると言っておられました。Oさんは過敏症だそうで、日常に異質な匂いが持ち込まれるととても気になるのだそうです。納品から2週間ほどは窓を開けての換気を余儀なくされたとおっしゃっていました。
自然塗料しか使用していませんが、天然由来の成分だけで構成された塗料であろうとも、そもそものベースになっている植物油の匂いが苦手という人もいらっしゃいます。匂いに敏感な方はご注文時にお申し出下さい。塗装が完了してから納品までの間に充分な時間をとって、できるだけ匂いが和らいでからお納めするように致しますので。

Oさん、貴重な情報をありがとうございました。