C-519 仏壇下台としてのキャビネット

Home　>　作品集　>　仏壇・厨子 　>　C-519

東京都のMさんからご注文いただいた仏壇の下置き台です。

当初のMさんのご希望は、独自デザインで新しいお仏壇を作りたいという内容だったのですが、取り入れたい要素として列挙してくださった事柄の全てを満たすためには、無垢の木を使った家具には不向きな構造にならざるを得なかったり、特別な金物を使用しないと実現できない内容が含まれておりましたので、その旨をお伝えし、その上で、無垢の木でお作りできる範囲内でMさんのご希望にできるだけ近づけた代替案をご提示したのですが、やはりそれはMさんが求めておられる形ではなく、少しの間、打ち合わせが膠着することになりました。

そして、後にMさんから届いた新たな御依頼は、仏壇の下台だけを作って欲しいというものでした。詳しい事情をお尋ねしてみると、既製品の中から気に入ったお仏壇を見つけることができたので、それに合う置台を作ってほしいということで、細かな打ち合わせを経て、上図のようなキャビネットをお作りすることになりました。

こちらが完成した仏壇台です。Mさんがお選びになった仏壇の扉にはハンドルやツマミはついておらず、指を掛けるための丸い穴が開いているデザインでしたので、下置き台もこれに倣いました。

キャビネットの奥行きは約32cm。　あまり深くしたくないとのことでしたが、上に乗る仏壇の奥行きが26cmでしたので、これとのバランスを考慮してこの奥行きにしました。

上部は引違い戸で、その内部は高さ12cmとなっています。ここには小さな骨壺が納められるとのことでした。

下部は大きな引き出しです。こちらに関しては中に入れたいものが具体的に決まっていて大きな引き出しになったのではなく、見た目の都合でこのようになりました。これが単体のキャビネットであったなら、浅い引き出しを2段にするとか、下部も引違いの扉にするなどの選択肢もあり得たのですが、上に仏壇を乗せた様子を想像した時のまとまりと考えると、この構成が最良と判断した次第です。

Mさんのご希望により、引き出しの内部もウォールナット材となりました。特にご希望がない場合は引き出しの内部は桐材でお作りしています。

最初のお問い合わせからは大きな方向転換となりましたが、無事に納まり、Mさんにも気に入って頂くことができました。ご注文品が到着して数日後にMさんがメールを送って下さったのでご紹介します。

ご連絡が遅くなりましたが、無事到着しました。
非常に満足しております。
おかげさまで気持ちよく手を合わせることができます。
心より感謝申し上げます。
引き戸の木目が繋がっていることに驚かされました。
皆さまの益々のご発展をお祈り申し上げます。
また機会がありましたらご相談させていただければ幸いです。
この度は誠にありがとうございました。

Mさん、ありがとうございました。